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相続放棄しても受け取れるお金|生命保険・遺族年金はもらえる?非課税枠の注意点

2026年07月15日
法務税務

「放棄したら保険金ももらえない」は誤解です

親や配偶者に借金があるとわかったとき、相続放棄を考える方は少なくありません。そのときによくいただくのが「放棄したら生命保険金も遺族年金も受け取れなくなるのですか」という質問です。

答えは、受け取れるものがほとんど、です。生命保険金や遺族年金は、亡くなった方(被相続人といいます)の財産そのものではなく、受取人や遺族に固有の権利だからです。一方で、うっかり受け取ってしまうと相続放棄ができなくなるお金もあり、この区別を間違えると取り返しがつきません。

実際の相続相談会でも、山林のようにほとんど価値のない不動産を手放すために相続放棄をしたいものの、生命保険だけは残っているというご相談がありました。このときも「保険金は相続財産に含まれないので、放棄しても受け取れます」とご説明しています。

この記事では、相続放棄しても受け取れるお金と受け取ってはいけないお金を一覧で整理し、生命保険金にかかる相続税の注意点(非課税枠が使えない問題)を解説します。相続放棄そのものの手続きと3か月の期限については相続放棄の手続きと3ヶ月の期限をご覧ください。

相続放棄しても受け取れるお金一覧

生命保険金(死亡保険金)

受取人が「妻」「長男」など特定の人に指定されている死亡保険金は、受取人固有の財産です。相続財産には含まれないため、相続放棄をしても全額受け取れます。

注意が必要なのは、受取人が被相続人本人になっている場合です。この場合の保険金は相続財産になるため、受け取ると放棄できなくなる可能性があります。受取人が誰になっているかを、保険証券で最初に確認してください。

遺族年金・未支給年金

遺族年金は遺族の生活保障のための給付で、相続財産ではありません。相続放棄をしても受給できます。所得税も相続税もかからない非課税の給付です。

未支給年金(亡くなった月までの年金でまだ支払われていない分)も、生計を同じくしていた遺族が自分の権利として請求するもので、放棄していても受け取れます。こちらは受け取った遺族の一時所得として扱われます。

死亡退職金・弔慰金

会社の退職金規程で「遺族に支給する」と定められている死亡退職金は、遺族固有の財産として受け取れるのが原則です。規程の書き方によっては相続財産と判断される場合もあるため、受け取る前に規程の確認をおすすめします。

香典・葬祭費・埋葬料

香典は喪主への贈与なので相続とは無関係です。国民健康保険の葬祭費(滋賀県内の市町では5万円程度。例:大津市・草津市はいずれも5万円)や健康保険の埋葬料(5万円)も、申請した遺族に支給されるもので、放棄していても受け取れます。

受け取ると相続放棄できなくなるお金

相続財産を「処分」すると、相続を承認したとみなされ(単純承認といいます)、放棄が認められなくなります。次のものには手を付けないでください。

  • 被相続人の預貯金の引き出し・解約(葬儀費用に充てる場合も慎重な判断が必要です)
  • 被相続人宛の入金(売掛金・貸付金の回収、家賃収入など)
  • 高価な形見分け(時計・貴金属・車など財産価値のあるもの)
  • 被相続人の借金の返済(自分のお金で返すのも、相続財産で返すのも避けるのが安全です)

葬儀費用への充当や遺品の整理は「どこまでが許されるか」の線引きが難しく、裁判例の判断も分かれています。迷ったら手を付ける前に専門家に確認してください。

当事務所でも、将来の相続放棄を検討している相談者の方に、被相続人の預金を受け取ってしまうと放棄が認められなくなるおそれがある旨を事前にご説明したことがあります。こうした事前の確認があれば、「うっかり受け取って放棄できなくなった」という事態は避けられます。

生命保険金の落とし穴|非課税枠は放棄した人には使えません

生命保険金は受け取れますが、税金の扱いには注意点があります。

死亡保険金は「みなし相続財産」として相続税の課税対象になります。通常、相続人が受け取る保険金には「500万円×法定相続人の数」の非課税枠があります。しかし、相続放棄をした人は相続人ではなくなるため、この非課税枠を使えません。受け取った保険金は全額が課税対象として扱われます。

一方で、非課税限度額を計算するときの「法定相続人の数」には、放棄した人も含めて数えます。相続税の基礎控除(3,000万円+600万円×法定相続人の数)も同様です。「枠の人数には入るが、自分は枠を使えない」という少しややこしい仕組みです。

非課税枠の基本的な仕組みは生命保険の相続税非課税枠は500万円×法定相続人数で、生前対策としての活用方法は生命保険で相続税を減らす方法で詳しく解説しています。

放棄をしても、保険金の額によっては相続税の申告が必要になることがあります。「放棄したから税金は関係ない」と思い込まないことが大切です。

判断に迷ったら3か月の期限内に相談を

相続放棄は、相続を知ったときから3か月以内に家庭裁判所へ申し立てる必要があります。この期間内に、①受け取ってよいお金かどうかの判別、②借金と財産の調査、③放棄するかどうかの判断、をすべて終えなければなりません。

保険金の受取人確認や、放棄後の相続税申告の要否判断は、税理士・司法書士が連携して対応できる分野です。「これは受け取っても大丈夫か」という単発の疑問の段階からでも、期限に間に合ううちにご相談ください。

まとめ

生命保険金(受取人指定あり)・遺族年金・未支給年金・死亡退職金・香典・葬祭費は、相続放棄をしても受け取れます。逆に、被相続人の預貯金や財産価値のある遺品に手を付けると放棄ができなくなるおそれがあります。そして、放棄した人は生命保険の非課税枠(500万円×法定相続人の数)を使えないため、保険金が大きい場合は相続税の負担も考慮して放棄を判断する必要があります。3か月の期限は思っているより短いものです。迷った時点で早めに動いてください。

相続放棄の判断は滋賀相続相談所にご相談ください

滋賀県草津市に拠点を置いており、草津市・大津市・守山市・栗東市・彦根市・近江八幡市など滋賀県全域の相続に対応しています。

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